スピーディーに、知恵を集めて

パンデミックが広がるにつれ、UNDPのアクセラレーター・ラボにとって正しい問いを立てるための重要な一年となります。

私たちは以前より、気候変動や、生物多様性の損失、とめどない消費と廃棄など、すでに地球規模の課題に直面していました。

そこに新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行という致命的な問題が加わり、私たちが築くべき道のりはますます複雑なものとなりました。

それに加え、持続可能かつ公正な未来を創るための大きな変化を生み出すには時間が相当限られています。

万能の解決策はなく、以前にも増して新しい考え方が必要とされています。

UNDPは一年前、アクセラレーター・ラボという世界的なネットワークを立ち上げました。目的は、複雑さを増す世界に解決策を示すことです。

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  • ベトナム
  • ザンビア
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“我々が追い求めるものと行動が、立ち向かう問題のスケールと一致しなければならない。”
– アヒム・シュタイナーUNDP総裁

インドでよりクリーンな窯をつくる。ウガンダで森林破壊の根本的な問題に取り組む。60カ所のアクセラレーター・ラボは78か国をカバーし、どんな場合でも、効果的な変化を生むための新鮮かつ迅速な手法を探求します。

ラボはドイツとカタール政府の支援により運営されています。起業家、エンジニア、データサイエンティスト、草の根のイノベーターが参加し、UNDPのエコノミストや環境分野のスペシャリストと協働しています。

新しい考え、新しい顔ぶれ

アクセラレーター・ラボは短期間で立ち上げられ、たった5ヶ月間で、世界で180人を新規雇用しました。

65%

65%が民間、非営利セクター、学術界、そして政府関係から

72%

72%が初めての国連での仕事

24%

24%が国外から出身国へ戻る形で勤務開始

“私はマリの両親を持ち、フランスで生まれ、育ちました。いつかマリに住み、国の発展に貢献することが夢でした。”
– カウンテル・カンヌ | マリ・アクセラレター・ラボ 解決策マッピング主席

課題は大きすぎることも、小さすぎることもない

ラボは、魔法のような解につながる未知のアイデアより、既存のアイデアを育てることから始めました。

 

ネパール

ネパールでは、市民と地方自治体と共に、未管理のまま放置されていたカトマンズのゴミ捨て場を、緑のコミュニティスペースに再生する計画を立てました。

ベトナム

ベトナムでは、人々がリサイクルしない理由の背景には何があるのか探索しました。その理由は本当にゴミ箱がないだけ? (ネタバレ: 「ノー!」)

サヘル

このラボではより広い規模で、気候変動や干ばつから砂漠化、テロリズム、そして避難民の発生まで、広大なサヘル地域が直面している、相互に絡み合った根の深い課題を調査しています。

互いに学び合う

 

海藻は世界中で育ちます。ナミビアでは家禽用飼料に用いられ、カリブ海諸国では使い捨てプラスチックに代わる生分解性代替品として使われます。世界6つのラボが協力して海藻の持続可能な利用法を模索しています。

これらのアイデアには、潜在的に富を産む可能性があります。 世界の海藻産業は、2024年までに220億米ドルの価値を産むと予想されています。

数年もの紛争を経てリビアが完全な復興への長い道のりに直面する中、アクセラレーター・ラボは基本的な課題の1つである固形廃棄物管理に取り組んでいます。地元の組織や民間企業と協力して、使い捨てのビニール袋への過度の依存に対処するための最良のアイデアをいち早く発掘し、試しています。

2019年9月27日−リビヤの首都トリポリ | ボランティアがアクセラレーター・ラボに参加。固形廃棄物管理を改善するための第一歩として、ゴミ集めを行いました。 Photo: UNDP Libya/Ahmed Bhih

魅力的な「デジタル・ノマド (遊牧民)」

 

ベオグラードでは、アクセラレーターラボの立ち上げとしてワークショップを開催し、解決策のマッピングを実施。 Photo: Momira Marcović

集合知 –1人より大勢の人が集まった方が賢いという考え– は新しいものではありません。 しかし、テクノロジーと携帯の発展により、21世紀において集合知という考え方はますます重要性を増しました。

セルビアでは高水準の教育を受けた人々の多くが故郷から流出し、大きな経済的な損失となっています。アクセラレーター・ラボでは、LinkedInプロフェッショナルネットワークによって提供されるほぼリアルタイムのデータを調査して、人口の減少に対する最も迅速な対応を探っています。

ここでの問いは、以下のようなものです。「デジタル・ノマド」を母国に呼び戻すことは可能?もしそれができない場合、国外から自国に積極的に寄与するよう奨励することはできるでしょうか?

言ったことを実践する

 

UNDPは革新的で持続可能な技術のあり方を示そうとしています。ナミビアのチームは、電気自動車を導入し、交通面とバックアップ電源の代替案を模索しています。

ボスニア・ヘルツェゴヴィナのチームは、国連ビルでの使い捨てプラスチックの使用を禁止しました。オフィスでの事例から学び、大規模展開を行いたいと考えています。

UNDPは電気自動車の導入により、ビジネス継続性の確保、海外資源への依存度の低減、エネルギー効率の向上、環境責任の促進、および緊急対応サービスの試験運用を図っています。 Photo: UNDP Namibia

新型コロナウイルスは世界を変えるか?

新型コロナウイルスは私たちが生きてきた中で前例のない課題です。ほぼ全ての社会の側面に影響を与えているため、医療危機に留まらず、開発危機をももたらしています。UNDPのアクセラレーター・ラボ・ネットワークは様々なパートナーと協働し、私たちが迎えた新しい世界に対処する方法を迅速に考案することで、危機への準備や対応、そして復興に取り組んでいます。

 

アゼルバイジャン

アゼルバイジャンではオンラインハッカソンを主催し、特に看護師や医師、最も危険にさらされている人々、および中小企業のためなど、人々が危機に対処するのに役立つアイデアを世界中に呼びかけました。

インド

インドのラボでは、データ、知能、ゲーミフィケーション、ソーシャルメディアを駆使した、いくつかのイニシアチブに取り組んでいます。予防的な対策を講じるために、700を超える地区におけるリスクの高い人口をマッピングしたのも一例です。また、国連ボランティアのVforceともキャンペーンを通して提携し、高齢者のケアを促進しています。

カーボヴェルデ

カーボヴェルデのラボチームでは、新型コロナウイルスに関する情報を収集および提供するためのウイルス追跡アプリを立ち上げ、政府が対策を強化すべき発生率の高い地域をマッピングしています。

パラグアイ

パラグアイでの焦点はウイルスによる社会・経済的影響です。他国で成功したアイデアを参考に、政府がインフォーマルセクターを支えるための支援策を立案しています。

ソマリア

ソマリアのラボでは、人々が「ウイルスではなく言葉を広める」ことを促進するための対話プログラムを立ち上げました。

エクアドル

エクアドルでは保健システムが脆弱なため、特別な課題に直面しています。ラボでは市民によるアイデアのクラウドソーシングを早々と立ち上げ、同様のプロジェクトに取り組んでいる人々同士を結びつけました。共有プラットホームでは、自家製の消毒剤の作り方やマスクの縫製方法を発信、さらに最も脆弱な世帯のマッピングを開始し、食品を届けられるようにしました。

  • アゼルバイジャン

    アゼルバイジャンではオンラインハッカソンを主催し、特に看護師や医師、最も危険にさらされている人々、および中小企業のためなど、人々が危機に対処するのに役立つアイデアを世界中に呼びかけました。

  • インド

    インドのラボでは、データ、知能、ゲーミフィケーション、ソーシャルメディアを駆使した、いくつかのイニシアチブに取り組んでいます。予防的な対策を講じるために、700を超える地区におけるリスクの高い人口をマッピングしたのも一例です。また、国連ボランティアのVforceともキャンペーンを通して提携し、高齢者のケアを促進しています。

  • カーボヴェルデ

    カーボヴェルデのラボチームでは、新型コロナウイルスに関する情報を収集および提供するためのウイルス追跡アプリを立ち上げ、政府が対策を強化すべき発生率の高い地域をマッピングしています。

  • パラグアイ

    パラグアイでの焦点はウイルスによる社会・経済的影響です。他国で成功したアイデアを参考に、政府がインフォーマルセクターを支えるための支援策を立案しています。

  • ソマリア

    ソマリアのラボでは、人々が「ウイルスではなく言葉を広める」ことを促進するための対話プログラムを立ち上げました。

  • エクアドル

    エクアドルでは保健システムが脆弱なため、特別な課題に直面しています。ラボでは市民によるアイデアのクラウドソーシングを早々と立ち上げ、同様のプロジェクトに取り組んでいる人々同士を結びつけました。共有プラットホームでは、自家製の消毒剤の作り方やマスクの縫製方法を発信、さらに最も脆弱な世帯のマッピングを開始し、食品を届けられるようにしました。

次の目標は?

17の持続可能な開発目標を世界中で推し進めるために、国連では今後2030年までを行動の10年と定めました。新型コロナウイルスが野球でいう急激なカーブボールを投げましたが、それはより平等な世界を創造する機会にもなりえます。アクセラレーター・ラボ・ネットワークには、より重要な役割が課せられたことになります。2020年はこれまで学んだ様々なことをより多くの人々と共有することから始めました。より大規模で、野心的な変化のためのパートナーシップを構築しながら、素早い成功を目指し続けます。さらには、システム学習とイノベーションに基づく実験事例を増強します。

この先はひたむきな努力が不可欠ですが、たとえ障害にぶつかったとしても、繁栄と公正な変化に向けた基盤を築くことができるはずです。